お客さんを信頼しています。――篠宮誠

Shinomiya

東京都東久留米市の若手トマト農家、篠宮誠さん。トマトのように赤い車と、携帯を片手に登場した篠宮さんのトマトに対する熱い思いや夢について、お話を伺いました。
試行錯誤の繰り返し

――農業を始めたきっかけは何ですか。

篠宮さん:そうですね、家が農家であったことが1番の理由です。それと、自分は次男で、長男が家をでていたので、家を継がなきゃいけないと思っていました。父が農業関係の役職に就き、畑での作業にあまり時間をかけられないということもあって、大学を中退して、家に入りました。

――篠宮さんの屋号「𣟿屋(きぐすりや)」は300年以上の歴史があると伺いましたが、トマト栽培自体は、いつから、どのように始められたのですか。

篠宮さん:トマトを始めて15年経ちます。本格的に僕自身が始めたのは4年前になります。

――なぜトマトの栽培を選んだのですか。

篠宮さん:元々、この辺りの農家ではほうれん草や大根が主だったのですが、「良いビニールハウスがあるのに大根を育てているのはもったいない」と言われていたので、設備を活かせるトマトにしました。

――トマト栽培において、大変だったこと、苦労した事、良かったことなどありましたら、お聞かせください。

篠宮さん:基本、トマトは雨に弱いのでハウス栽培なのですが、その中で栽培方法を確立するまでに、結構な時間がかかりました。今でも、試行錯誤しながら、毎年やり方を変えています。
特に苦労したことは、味ですね。甘くするには、どうしたらいいのか。水を少なくしたり、肥料を工夫したりしました。トマトはいじめればいじめるほど美味くなるって言いますけど、害虫や病気(トマト黄化葉巻病が多い)には、いつも悩まされていて、消毒などを試しています。その結果、以前よりは減りましたね。あと、暑すぎてもあまり育たなかったり、皮が軟らかくなったりしてしまうので、温度管理には気をつけています。

――トマト栽培のこだわりなどありましたら、お聞かせください。

篠宮さん:1番は、味ですかね。後は、化学肥料を使わないこともあります。


shinomiya


やっぱり、そのままが一番

――栽培しているトマトの種類についてお聞かせください。

篠宮さん:僕が育てている中で大玉のものは、桃太郎系です。黄色いのは、桃太郎ゴールドっていいます。この、桃太郎ゴールドは、試しにやってみているものです。中玉は、レッドオーレとレッドボレロという種類のトマトです。プチトマトのような小さいサイズのものは、栽培していません。

――トマトを使った美味しい調理法などがあれば教えてください。

篠宮さん:ソースなどにして食べるのも美味しいですけど、やっぱり、そのまま生で食べるのが一番良いんじゃないですかね。(笑)

――トマトの旬と言えば、夏のイメージなのですが、トマトの栽培は、一年中やっているのですか。また、収穫量が最も多い時期はいつですか。

篠宮さん:通年やっています。冬や寒さの厳しい時は、暖房機器を利用します。あと、ハウスによっては、屋根のところのビニールが二重になっていて、これで保温できます。それでも、夏より気温が低くなるので、冬の方が栽培時間は長くなります。また、夏の暑さの厳しいときには、扇風機を使って風通しを良くしています。通年やっていて、一番収穫できるのは、5・6月ですね。


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お客さんの顔がみたいから

――市場には卸さずに、99%軒先販売とお伺いしたのですが、その理由は何でしょうか?

篠宮さん:市場に卸していた時もあったのですが、軒先販売にしました。
やっぱり、お客さんの顔を見られることが良いですね。「こういう野菜やらないの?」とか「この●●美味しい!」など消費者の意見を直接聞けると、新たな野菜などへの挑戦をしてみようと思って、試しに栽培してみたりしています。

――でも、無人なんですよね?

篠宮さん:そうなんです、無人なのでお金を払わないで取っていってしまう人もいます。年間の損害額としては結構な額になることもあります。でも、意見をくださる方や美味しいと言ってくださる方もたくさんいますし、何よりお客さんを信頼しています。

――基本、買うお客さんは同じお客さんなのですか?

篠宮さん:地元の人が多いですが、遠くから買いに来てくれる方もいます。


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自分が食べたいから

――色々と試しているというお話も出ましたが、他にはどんな野菜を栽培しているのでしょうか?

篠宮さん:ブドウ(巨峰系とマスカット系)、アスパラガス、茄子、ピーマン、パプリカなどを育てています。

――トマト以外にも、様々な野菜・果物を栽培しているんですね。

篠宮さん:ブドウとかの果物類は、父の趣味もあります。(笑)自分は、お客さんの意見を取り入れたり、新しい物をやりたいなぁと思ったりして、やっています。今は、アイスプラントなどに挑戦しています。

――その新しい物を始めようと思う基準はなんですか?

篠宮さん:1番の理由は自分が食べたいかどうかですね。(笑)やはり、食べたいと思うような野菜・果物を作ることで、お客さんにも喜んでもらいたいですからね。今は、イチゴをやりたいなと思っています。


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トマトをブランド化したい。

――これから自分の畑をどうしていきたいか、夢や目標などありましたら、お聞かせください。

篠宮さん:やっぱり、トマトのブランド化をしたいですね。まだ、名前を付けるとか、具体的に考えてはいないですけど。(笑)それと、地元の飲食店に自分の作った野菜を出せればいいなと思っています。実際に今、地元のイタリアンバーと交渉しています。

――現在、農家には若い人が少ないとお聞きしたのですが、その事についてどう思われますか。

篠宮さん:後継者不足は問題だと思います。今後どうなるか分からないんですけど、もっと企業とかに参加してほしいですよね。農協とかも率先して多くの人に働きかけて、職場体験(農業体験)みたいな経験をさせれば、若い人も興味をもつと思う。

――ちなみに、篠宮さんはどんな女性にパートナーになって欲しいですか。

篠宮さん:そうですね。どんな女性というか、自分はあまり一緒に仕事(農業)をしたいと思わないです。一緒にやってくれるなら、そっちのほうが良いですけどね。(笑)
あと、強いて言えば、自分の考えや意見を言えない人だと苦労すると思います。

――私はトマトが大好きなのですが、残念ながら友達や知り合いにはトマト嫌いの人がいます。最後に、その方々にメッセージをいただけますでしょうか。

篠宮さん:やっぱり1回食べてほしいですね。絶対変わると思います。食べるか食べないかは、個人の自由なんですけど。(笑)

――本日は、どうもありがとうございました。





【プロフィール】𣟿屋(きぐすりや) 篠宮誠(しのみや まこと)さん。24歳。
東京都東久留米市にて300年以上続く農家に生まれ、数年前から本格的に農業の道へと足を踏み入れた。現在は、家族5人でトマトを中心に、様々な野菜・果物を栽培している。

【取材記者の一言】長島果の実
最初は一見大人しそうに見えた篠宮さんでしたが、インタビューを通して溢れる想像以上に多くの野望やチェレンジ精神は、真っ赤なトマトに負けないものだと思いました。また、そんな篠宮さんの愛情で育った甘くて旨味たっぷりのあのトマトは、まさに篠宮誠さんそのものなのだと思ったのでした。

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