九州のつくるとつながってmeal〜ツアーレポート(前篇)

九州ツアー

つながってmealのスタッフ+東京の農家篠宮さんとともに、九州の農場やレストランを巡る、驚きと美味しさにあふれる1泊2日のツアーに行ってきた。一日目にあたる前編。
生きものとの共生、循環型農場に驚く

最初に訪れたのは、熊本県玉名市の山の中にある「玉名牧場」。循環型農業を営んでいるということで、その牧場の見学に。

まず、乳製品をつくっている機械について、農場主の矢野さんから説明を受ける一同。

玉名牧場


この乳製品をつくる際に出てくるホエイ(乳清)の搾りカスを敷地内で飼っている豚に与えているそう。また、この豚さんには、雑草や、無肥料・無農薬栽培でつくっている野菜くずを食べさせている。青物を食べることで、気性も穏やかで、糞尿も臭くなりにくいとのこと。
確かに、この豚小屋は、嫌な臭さがなかった。脂の質も変わるそうで、この夜のBBQでそれを実感することになる。

玉名牧場


続いて、堆肥ゾーンの紹介。
堆肥といっても、家畜の糞尿をつかった厩肥(きゅうひ)ではなく、雑草や野菜くずを使った緑肥。何故か、香ばしい発酵した薫りがする不思議なゾーン。そこの土から、いい薫りが漂っている。
でも、畑は既に土が出来上がってるとのことで、緑肥は今はほとんど使っていないそう。

玉名牧場


鶏と子牛が戯れている!

区切られたそこそこ広いスペースで、鶏が平飼いされていて、そこに子牛が一緒にいる。
子牛は、牧草を食べる練習の場所として、鶏にとってはビタミンとカロチン(黄身の色を濃くする)の摂取場所になっている。
鶏も、ビタミンを摂れているからか気性も穏やかで人懐っこく、捕まえても暴れない。子牛も好奇心からか、興味津々に寄ってくる。毛並みがよく目が澄んでいてびっくり。

玉名牧場


鶏舎に行くと鶏糞だらけにも関わらず、ここも嫌な臭さがない。どこか発酵したような、香ばしい薫りが漂う。
鶏の顔を見せてもらったが、目に力があり、賢そうな顔している。生きている動物の目をしていた。

玉名牧場玉名牧場


存在感のあるタフな牛たち

東京ドーム3つ分はあるという、メインの放牧地に行った。これだけの広さがあっても、牛30頭が適正だと言う。至る所に牛糞が落ちているが、ここも同様に嫌な臭さはなかった。乾ききった牛糞を手にとって嗅がせてもらったが臭くない。牧草だけを食べているとこうなるそうだ。

原っぱの真ん中に立ち、パッと見ても見当たらない。一体どこにいるんだ? 広場を抜けて、ちょっとした傾斜を下っていくと、彼らはいた。

普通に人間でもちょっとしんどい崖にも似た傾斜を、牛たちは普通に歩いていくようだ。ちょっと牛のことを舐めていたかもしれない。彼らは、ここ数年の悪天候のために細った牧草により、草を探して降りてきたようである。

玉名牧場玉名牧場


それでも、やはり足りないらしく。牧草をおやつで与えているそうで、時間になると牛舎に集まってくる。牛舎に入ると、一心不乱に牧草を食べる彼らがいた。

玉名牧場


牧草だけを食べる彼らの身体は引き締まっている。
穀物は与えられていないので、変な太り方はしないし、ホルモン剤も使われていない。
最も最長老である人間でいうところの80歳に相当するおばあちゃん牛は、12回のお産を体験し13回目の準備中だと言う。身体が強くないと、それだけの回数のお産に耐えられないらしい。(通常は、2〜3回だそう。)

昔の人は、7人、8人といった兄弟がいたというのは、働き手が必要だったという時代の要請もありながら、それだけのタフさを併せ持っていたからなんではなかろうか、ということを思った。

玉名牧場玉名牧場


まさかの12連作

この時期は畑での耕作物は少なかったが、赤芋の畑を見せてもらった。紫色の花が咲いていて、周りには雑草が生えていたが、芋畑の中にはあまり生えてない印象があった。

土を見せてもらったが、畑の中の土と、元々の土を比べると全く違うことが分かる。
これで無肥料・無農薬だというのだから、信じられない。
12連作目だと言うが、それも土が生きているからこそなのかもしれない。

玉名牧場玉名牧場


畑に行く途中に子猫の小屋があった。ここでは猫も働き者。ネズミを捕ったりモグラを退治したり、畑を守ってくれるのだそうだ。それにしても可愛い。

玉名牧場


世界一のランチ…かもしれない。

そうこうしている内にお昼になった。
玉名牧場では、ランチつきの農場見学ツアーを行っているとのことで、ここの乳製品やお野菜をつかった手作りのランチを食べることが出来る。グリーンサラダとキッシュ、自家製チーズのピザ、卵白だけでつくったシフォンケーキ。とても贅沢なランチ。そして最後に、牛乳をいただくことが出来る。すっきりとしながらも、甘い。どれも澄んだ味がして、身も心も豊かになれた一時だ。

玉名牧場玉名牧場玉名牧場


農と、人に循環を

午後は、玉名市からちょっと北上し、荒尾市にある「クルンノウエン」に訪問した。
名前の「クルン」という言葉にあるように、じゅんかん作りを目指した農園。

そこで、農園主の茅畑さんに畑を案内してもらった。土の中から生育環境を整える「たんじゅん農法」による畑は、今までの畑への常識を覆すものだった。畝(うね)の両側に1m程の深さの溝を掘り、木のチップを入れることで、空気を多く取り込み、キノコの菌床をつかって土の中の循環を活性化させるというものだ。まだ、始めて数年ということもあり実験的ではあるが、大きく生育した野菜をみると可能性を感じるには十分だった。

中には実験をしている畝もあった。循環がうまくいき栄養が行き届いている畝ではお野菜に虫がよりつかず、別の畝では土の奥にある腐敗成分を吸って虫に食われているお野菜があるという具合だ。よく「虫が食べるくらい美味しい野菜だ」と言われるが、そんなことはなく健康なお野菜には虫がつかないのだなということを感じた。

また、出来上がったばかりのコミュニティスペースも見せていただいた。体験農業も進めていることもあり、生活者とのつながりの場を提供することで、農場自体が共創のコミュニティになっていくのだろうな、という想像がふくらんだ。

クルンノウエンクルンノウエン


門外不出のBBQ

一通りの見学を終えて玉名牧場に戻り、夜はお楽しみのBBQ。なんせ、広々とした場所で牧草だけで育った牛と、ホエイの搾りかすと無農薬の野菜くずで育った豚なんて市場に出回らない。これこそ門外不出と言わずしてなんと言うのだろう。しかもそれを炭火でいただくというのだから、贅沢だ。

玉名牧場玉名牧場玉名牧場


お肉の写真を見れば分かるように、ピンク色をしていて臭みがなく、赤身に旨味があった。特徴的なのが脂身で、クリーム色をしていた。矢野さんが言うには、餌が変わることで脂身の質も変わり、融点が低い不飽和脂肪酸という良質な脂になるそうだ。

人間が食べるものには規制が入るが、家畜が食べる飼料には遺伝子組み換えのトウモロコシ、麦、大豆が使われることが多い。さらにはポストハーベストで、長い船旅による輸送を乗り越えるために消毒まみれになっている。また、養豚場によっては、コンビニなどの食品廃棄物を餌にしているところもあるという。そんな身体にいいとは言い切れない餌を食べ続けている家畜のお肉を食べるというのはどういうことなのか。食物連鎖によって、上にいけばいくほど濃縮されるということを考えると、人間に病気が増えるのも頷ける。

そんなお話を伺いながら、育てている方に、一番美味しい焼き方で目の前で調理して頂くという贅沢な時間となった。途中からクルンノウエンの茅畑さんも加わり、お酒も入って和やかで楽しい夜がふけていったのだった。

後編へつづく)

玉名牧場玉名牧場

(文責:松澤巧)


Information

■玉名牧場(酪農・養豚・養鶏・稲作・野菜)
代表:矢野希実
所在地:熊本県玉名市三ツ川1024-2
TEL: 0968-74-9248 ※見学については要予約
ウェブサイト

■クルンノウエン(野菜)
代表:茅畑孝篤
所在地:熊本県荒尾市平山165-2
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